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日ハム・斎藤に感じる“ブレ”。不安定な土台には高すぎた目標【小宮山悟の眼】

日本ハムの斎藤佑樹投手が5月31日のDeNA戦で、623日ぶりの勝利を手にした。甲子園で「ハンカチ王子」として脚光を浴び、早稲田大学から鳴り物入りで入団するも、プロ入り後は厳しい状況が続いた。背水の陣で臨む7年目で久々の白星。かつての輝きを取り戻し、低迷するチームを救えるか。

2017/06/07

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高すぎた目標設定

 プロ入りからこれまでの斎藤は、自分のことをどのように考えていたのか?周りから過大評価されたのか分からないが、力で抑え込んでやろうという気持ちが強かったように思える。
 
 もう何年もプロでやっているわけだから、自分の投球スタイルを構築しているべきなのだが、斎藤には投手としてのブレを感じずにはいられない。プロ入りしてから目指していたものは、雲をつかむようなもので、自分自身を見失ってしまったのかもしれない。学生時代のピッチングをそのまま貫いていくべきだったのに、彼は等身大の自分のかなり上を目指そうとしていたのではないだろうか。そこに大きな問題があったのではないか。
 
 もちろん、上を目指すことは悪いことではない。しかし、斎藤の目標は高すぎた。
 
 以前、斎藤はダルビッシュのようになりたいと言っていた。チームにおけるダルビッシュの存在を意味しての「ダルビッシュのよう(な選手)に」という言葉だったと思うが、プロとしての土台さえも確立できていない状態で高望みの目標を掲げたのが間違いだった。目標は手の届く範囲に設定しないといけない。
 
 土台ができていれば、あとは経験が積み重なっていくらでも伸びていくものだ。しかし、斎藤の場合は、土台部分が小さく、目標だけが独り歩きし、上へ伸びようにも、ブレを起こしてしまったのだと思う。
 
 今回は勝利をつかんだが、ピッチング内容だけで言えば代わり映えしていないと最初に書いた。大事なのは土台部分が完成したのかということなのである。もっとも、土台というのは、体力面などではない。
 
 ピッチングをする上で、学ぶべき知識や自分自身の状態を把握することだ。そういったことをすべて含めて土台ができた上での今回のピッチングであるのなら、今後もいい投球ができるだろう。

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