日本ハム・大谷復帰はパの脅威。楽天はWエースで首位死守なるか【小宮山悟の眼】
交流戦は予想通りパ・リーグの勝ち越しで終了した。金曜日からはペナントが再開するが、この交流戦を経てどのような戦いになるのか展望したい。
2017/06/22
一軍合流の大谷、日本ハム上位浮上の起爆剤に
パ ・リーグは楽天が首位を走っているが、交流戦はソフトバンクが地力を発揮した。今後は、楽天がどこまで粘ることができるかが焦点になる。一番怖いのは日本ハムだろう。一軍練習に合流したとの報道がある大谷翔平が戦力として戻ってきたら、大きな変化が生まれるだろう。
日本ハムはいまひとつ波に乗れていないが、どのタイミングで大谷が復帰するかによって変わってくる。去年は11.5ゲーム差をひっくり返した。選手の能力は高く、去年の連勝の時の野球をやればできると思う。大谷が戻って来たタイミングで、みんながみんなアクセルを踏もうという感じになっているはずだ。有原航平は交流戦の最終戦で素晴らしいピッチングを見せ、西川遥輝も調子を上げている。松本剛は交流戦2位の高打率を残している。
日本ハムの借金は10。上位進出には、貯金が10くらいまで増えることが鍵になると考えれば、シーズン終盤までに20の勝ち越しが必要という計算になる。その相手がどこになるかだ。
楽天は、下が勢いをつけて上ってくるのを恐れているだろう。梨田監督がどのようなかじ取りをしてくるか。キャリアのある監督だから、どう選手を緩め、締めてやりくりするか、興味深いところだ。まずは前半戦いい形で試合をできている西武(5勝4敗)、ロッテ(7勝3敗)、オリックス(7勝1敗)に対して取りこぼさないことが大切だ。
そうすれば上位をキープした状態での戦いができる。もし3チームとの戦いが前半戦とは違い苦戦した場合、ベストメンバーをそろえたソフトバンクや日本ハムとの対決では、悪い流れを受けたままの展開になり、脱落してしまう可能性もある。
決して、楽天は前半戦を飛ばしていたわけではない。自分たちの野球をしていたら、それが上手くかみ合いこれだけの成績を残した。世間一般からみると飛ばしたような印象になっている分、止まり始めると急ブレーキが掛かってしまう怖さもある。
楽天の鍵を握るのはやはり投手の2人、則本昂大と岸孝之だ。2人がこのまま大車輪の活躍を続ければ、逃げ切れるはずだ。
おそらく、金曜日の試合からはローテの再編が行われる。この2人を同じカード内に入れるか外すかの選択が興味を引くが、私の意見とすれば2人は離した方がいい。2人に3連戦の頭を投げてもらう。頭を取るというのは、非常に重要だ。頭を一つ取れば、残り2試合を1勝1敗、もしくは連勝すると大勝ちになる。頭を取ることによって、連敗しても次の頭を取れば大型連敗をすることはない。その計算がものすごく大きいのだ。
交流戦が終わり、ここから真の意味での本番が始まるとみていい。どうなっていくかが非常に楽しみだ。
小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。