「衰えの兆候は見えず」3つのデータから考える、黒田博樹の2015年【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、3つのデータから黒田の2015年を占ってみた。
2015/02/22
2 ストライクゾーン
ストライクゾーンの変化は、投打のバランスを大きく変える。三振数を四球数で割ったSO/BBは、ストライクゾーンの変化による投打のバランスを見るデータとなる。この数値が大きいと「投手有利」、小さいと「打者有利」ということになる。
MLBとNPBのSO/BBの数値、および本塁打率(1試合当たりの本塁打数)の推移だ。
MLBは2009年、それ以前より低めのボールをストライクと判定する変更を行った。以後、SO/BBの値がどんどん大きくなっている。「投高打低」が急速に進んだのだ。被本塁打率も下がった。
黒田は2008年にMLBへ移籍したが、非常に良いタイミングだったのではないだろうか。
黒田のように高い制球力とツーシームやスプリットなどの球種で勝負する投手にとって、ストライクゾーンが大きくなったことは、有利に働いた。
NPBは2011年、統一球を導入すると同時にストライクゾーンも広げた。これによってSO/BBの値は一時的に2.70と上昇したが、その後数値は戻りつつある。NPBの発表はないが、おそらくストライクゾーンを戻したと思われる。したがって現在のNPBのストライクゾーンは、MLBより狭い。その中で、黒田の円熟味ある投球術が見られるのかが、楽しみだ。