ロッテ・加藤、プロ5年目も「チームのために」。刺激を受けた“ライバル”たちの存在【マリーンズドキュメント】
2012年にドラフト4位指名を受け、千葉ロッテマリーンズに入団した加藤翔平外野手。大学時代からチャンスで打席に立つことが多かったと話す加藤だが、ここぞの場面で結果を残せるようになるまでに数々の試練があった。
2017/07/24
千葉ロッテマリーンズ
プロ初打席で本塁打をマーク
5年の月日は、人の環境を変えるには十分な時間で、プロ野球の世界であれば尚更のことだ。今年の福岡での開幕直前、若手数人と伊東勤監督の食事会の席で、加藤の顔を見た監督が冗談めかして言った。
「(マリーンズに)お前らと一緒に入ったんだ」
伊東監督が就任した初年度、2013年のルーキーとして加藤は入団した。1月の新人合同自主トレで異例の大雪に見舞われながら、指名を受けた4人は第一歩を踏み出したのだった。
2017年の現在、かつて横一線だった同期はそれぞれが違う位置にいる。1位指名の松永昂大は即戦力として一軍の中継ぎで登板。2位の川満寛弥は退団して地元・沖縄の社会人チームで投手を続けている。唯一の高卒入団だった3位の田村龍弘は正捕手候補の筆頭としてオールスターにも出場する飛躍を遂げた。
そして、4位の加藤は1年目に初打席初本塁打の鮮烈デビューを飾り、フレッシュオールスターでMVPを獲得し、評価は一気に高騰した。2年目以降もずっと監督や周囲の期待を感じていたが、1軍と2軍を行き来している現状を思うと、5年目の監督のひと言を聞き流すことはできなかった。
「本当ならレギュラーとして全試合出場していないといけないけれど、今までを振り返ると、課題や反省が多くありました。監督、コーチ、いろんな人からの期待をわかっていながら応えられない自分がいて、歯がゆさはあります。それでも、キャンプの強化指定選手にしていただいたり、特打や特守を指導してもらったり、試合にも出させてもらっているので、絶対に応えないといけない。
一軍はプレッシャーもあるけれど、観客がたくさんいるなかでプレーできるのは幸せなこと。思い切り、すべてを力に変えていかなければいけないと思います。下を向いていても仕方ない。チームが勝つために貢献していきたいです」
3年ぶりのヒーローインタビューに選ばれた2017年の夏。混沌とする戦いは、自らの手で決着をつける。