上位指名の可能性も? 夏の甲子園制覇・花咲徳栄、注目のドラフト候補
きょう26日、いよいよプロ野球ドラフト会議が開催される。関係者の間では事あるごとに「今年は不作」と囁かれてきたが、早稲田実のスラッガー・清宮幸太郎がプロ志望を表明したことにより、注目度は間違いなく例年以上。また上位候補として、高校生では広陵・中村奨成や履正社・安田尚憲、横浜・増田珠らの名前が取り沙汰され、投手でも青藍泰斗・石川翔、日大三・櫻井周斗、星槎国際湘南・本田仁海、熊本工・山口翔、秀岳館・田浦文丸らが高い評価を得ている。大学&社会人には立命館大・東克樹やJR東日本・田嶋大樹などの逸材もいるが、最大の焦点はやはり高校生だろう。
2017/10/26
Getty Images
二枚看板の一人・清水に上位指名の可能性も
一方、全国制覇の立役者となった投手の二枚看板にも注目だ。
特に“抑えのエース”として甲子園で全6試合に救援、計19回2/3を3失点に抑えてU18日本代表にも選出された150キロ右腕・清水達也は上位指名の可能性もある。
もともとポテンシャルは高く、昨夏の甲子園3回戦(対作新学院)では1回1/3を無失点に抑えて最速143キロをマーク。ただ、当時は直球で押すと言うよりもフォークとのコンビネーションで打ち取る投球がメインで、本人も縦に角度をつけることを強く意識していた。
飛躍のきっかけは冬場だ。90メートルの遠投をノーステップで50球行うという練習を積み、肩の強さとフォームのバランスが染み付いていった。
また、昨秋は「上から投げ下ろそうとして胸を張っていた分、体に負担が来て腰を痛めてしまった」(清水)が、「上に担ぐんじゃなくて少し横から投げるイメージにしてみたらどうだ」という岩井監督の助言をもとにヒジの位置を下げると、リラックスしながらリリースで最大限の力を伝えられるように。春の県大会で直球は149キロを計時し、夏には大台を突破した。
フォームがまだ粗削りなため、賛否はあるかもしれない。が、実は先発完投できるスタミナも備えており、伸びしろは大いにある。
そして、甲子園では全6試合に先発した右腕・綱脇彗。今春以降に調子が上がらず、夏の県大会直前まで実はノースロー調整だったというエピソードも知られているが、2年時から春夏の甲子園を経験しており、将来性の高さは折り紙つきだ。
今夏はスライダーやツーシームをはじめとする変化球の制球力が目立ったものの、本来の持ち味は直球の球威。球持ちが良く、指先で鋭いスピンをかけて“最後のひと押し”ができるのは天性の感覚だろう。
今回のドラフト指名においては当落線上だろうが、たとえ大学進学になったとしても「4年後に化けるのではないか」と期待を感じさせてくれる素材だ。
埼玉に初めて夏の大旗をもたらした3人の逸材。その進路が決まる瞬間をしっかりと見届けたい。
書籍紹介
『高校野球 埼玉を戦う監督たち』
深紅の大旗を最初に勝ち獲るのはどこか?
プロ野球選手を多数輩出。名門校・強豪校・新興校ひしめく全国有数の激戦区も、埼玉県勢はいまだ夏の甲子園で優勝なし。高校野球にかける指導者、6者6様のライバル物語
第1章 浦和学院 森 士監督
第2章 春日部共栄 本多 利治監督
第3章 聖望学園 岡本 幹成監督
第4章 花咲徳栄 岩井 隆監督
第5章 上尾 高野 和樹監督
第6章 松山 瀧島 達也監督
【特別収録】僕の埼玉高校野球
土肥義弘(春日部共栄→西武 現埼玉西武ライオンズ一軍投手コーチ)