【日本Sを読み解く】DeNA・濱口、圧巻の投球にあった伏線。女房役・高城と踏み入れた新境地
日本シリーズ第4戦は、横浜DeNAべスターズが福岡ソフトバンクホークスに6-0で勝利した。崖っぷちだったDeNAは第5戦に望みをつないだ。試合のポイントはどこにあるか。
2017/11/02
女房役・高城、早めの継投予想で積極的なリード
高城はこの日、シーズン中とは異なる組み立てを選んでいた。
「僕のイメージでは濱口は早く変わると思っていたので、初回からどんどん勝負球を使っていきました。普段は初回からいろんな球種を使ったりしないんですけど、早めの継投に入ると思ったので全球種を使って抑えて行こうと。一人一人をしっかり抑える。その中で、1打席目、2打席目と各打席のつながりを大事にしていました」
捕手は長いイニングを考えた場合、リード面で細工をする。後半に使うべき球種を前半は隠し、ここぞの場面で使う。あるいはボール球を多く投げさせてから勝負に入るなど、9イニングトータルでの配球を考えるものだ。
濱口は投げ合った和田と違って荒れ球の多いピッチャー。フルカウントになることもしばしばで、そんな投手に初回から全力で投げさせれば球数は増える。しかし、高城は5、6回まで100球を投じてでも「0」に抑えてれば二人の役割は果たせる。そう考えていた。
目の前の打者一人一人を抑えた結果、8回1死までノーヒット。集中力のほかに、これほどの好投が引き出された伏線がある。
日本シリーズへ進出する過程で、濱口はCSファイナルで2度の登板があった。その2度目が日本シリーズ進出を決めた第5戦でのリリーフ登板だった。2回を無失点に抑えたが、先発とは異なる全力投球の経験がこの日に生きた。
「リリーフを経験して分かったのは、多少、甘かったり抜けたりしてもしっかり腕を振っていれば打たれないということ。きょうも変化球が高めに抜けたりしたけど、バッターが手を出してくれた。僕の場合は、細かいコントロールというよりも腕が振れるかどうかが勝負になっているので、そこでしっかり抑えられた。リリーフの経験は繋がっていると思います」
一人一人、一球一球の集中はこの日、濱口と高城がこれまでには体験したことのなかった新たな世界だっただろう。横浜スタジアムの「明日なき戦い」の空気に包まれ、彼らは新境地に足を踏み入れた。
「目の前で起こっていることを一番にして、配球していくのが一番大事かなと思います。相手の打者はここが苦手だから、そこを攻めようとか裏をかいたりするのではなく、バッターの反応、そのままを受けて捉えていくことが大事かと思います」
高城はそう手ごたえを口にした。3連敗し、その後の1勝が完封勝利であることの意義は計り知れない。この流れをチームはどうつなげるか。
「明日なき」戦いは今日も横浜スタジアムで行われる。