「ヤバい」巨人、浮沈の鍵握る新たな背番号「25」。若手育成路線の象徴になれるか
今季11年ぶりにBクラスに沈んだ読売ジャイアンツは、新たなチーム編成を進めている。しかし、投手力の大幅ダウンの可能性や大砲不在など、問題は山積み。若手育成が本格化する中で、期待を背負うのは岡本和真内野手だ。
2017/11/27
結果に恵まれなかった4番候補、ファームで打撃開眼
ここまで将来の4番候補と目されながらも結果に恵まれず悶々とした日々を過ごしてきた。今季は自身初の開幕一軍登録を果たしたが、その後はスランプに悩まされて結局のところ一軍定着は果たせずじまい。終わってみれば一軍出場は僅か15試合にとどまった。
しかし一方でファームでは今季、内田順三二軍監督や田代富雄二軍打撃コーチらの熱血指導により、シーズン後半の7月から4番を任されるようになって打撃の潜在能力が開眼。チームの3年連続イースタン制覇に大きく貢献していた。だからこそ若手育成へ舵を切ることになった球団フロント、そしてチームは、この岡本の持つ潜在能力にすべてを託すことにしたのだ。
功労者の村田に戦力外通告を下す“非情の決断”に踏み切ったフロントの覚悟は相当なものであったはずだ。岡本自身も当然、それに応えなければいけない。
宮崎で行われた秋季キャンプでは早速、岡本が「強化指定選手」として高橋由伸監督や新たに就任した川相昌弘二軍監督ら一、二軍の現場首脳陣から猛練習を課せられ、みっちり鍛え上げられていた。
午前から日が暮れるまでの“マラソンメニュー”をこなしていたことで「時代錯誤」という声も聞かれたが、個人的には必ずしも間違っているわけではないと感じている。結果が出ていない以上、納得のいく形が出来上がるまで汗を流すことは大切だ。
ただし、この秋季キャンプでは岡本の指導法に関してやや不安材料が聞こえてきたのも事実。今オフの首脳陣再編によって巨人の一軍打撃コーチが3人体制となり、岡本は吉村禎章打撃総合コーチと二岡智宏打撃コーチ、小関竜也打撃コーチから“かわるがわる”で打撃指導を受けていたというのだ。
せっかく二軍で内田前二軍監督と田代コーチからの指導で打撃が開眼したというのに仮に再びリセットされ、さらに三者三様のことを教えられていたとしたら、それこそ岡本は混乱してしまうだろう。もちろん吉村コーチと二岡コーチ、そして小関コーチもプロの指導者なので、その辺のことぐらいは重々承知しているとは思うが、どうか金の卵の育成を行う上で留意してほしいと切に願う。
いずれにしても、この岡本が巨人浮沈の鍵を握っていることは言うまでもない。
今オフから本格的に着手する「若手育成路線」の象徴として、現場は21歳の若武者を我慢強く一軍で先発起用し続けられるか。高橋監督の忍耐と決断にも大きなウエイトがのしかかっている。