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高校生野手に指名集中の思惑。気になる根尾の育成方針、指導者の立場で見るプロの世界【小宮山悟の眼】

今夏の甲子園の盛り上がりもあり、今年のプロ野球ドラフト会議も大きな注目を集めた。11球団が高校生野手を指名した異例のドラフト。最大の目玉候補・根尾昂内野手(大阪桐蔭)は4球団競合の末、中日ドラゴンズが交渉権を獲得。12球団一番乗りで仮契約を結んだことが発表された。(取材:10月26日)

2018/11/05

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根尾は“立浪パターン”の育成が有効か

 根尾に関しては、立浪パターンで育成するのがいいのではないかと思っている。与田剛新監督のもと、ファームがどういうシステムで動いていくのかわからない。ただ、過去をさかのぼると、ファームで埋もれた選手もいるので、それならば開幕からスタメンで起用し、1軍で“英才教育”するのがいいのではないか。
 
 中日は今季限りで荒木雅博が引退した。荒木の後継となろうと頑張っている選手もたくさんいるが、根尾を二塁手にコンバートして高卒1年目から使えば20年くらいプロ生活を送れるのではないか。根尾はそれほど図抜けた選手でもある。与田監督がどう判断するか。
 
 来年から私は早大野球部の監督に就任するため、ドラフトの見方も大きく変わるだろう。アマチュア選手にとってプロ野球は憧れの舞台だ。プロに行きたいと思っている選手には、その希望をかなえてあげたい。ただ、プロ野球入りだけを目標にする選手は、プロに進むべきではないと思う。
 
 子どもたちにとって最も良くないことは、「プロに入って失敗だった」という思いをさせることだ。指導者としてプロで活躍するための練習をさせるとともに、しっかりとした現実も教える必要があると思う。プロ野球選手にはリスクもあるし、「プロをなめるなよ」と言える立場として、学生に進言したいと考えている。

 指導者としてできることは、選手たちのレベルをプロで成功できるまでに引き上げることだ。「プロに行きたい」という選手ではなく、「プロから来てくれ」と言われる選手を育てて送り出したいと思う。
 
小宮山悟
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家を務める。
 
 
氏原英明

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