開幕前の不安を一蹴 好調DeNAを支える鉄壁のリリーフ陣に死角はあるか?
昨年の守護神だった三上、オフにセットアッパーとして獲得した岡島がともに開幕アウトとなり、リリーフ陣の再編が急務だったDeNA。二人の穴は簡単に埋められない――リリーフ陣の層の薄さが不安視されていた。しかし、開幕するとそこに新たな選手が見事にはまった。小さな大魔神こと、山崎康晃と8回の男・田中健二朗だ。
2015/05/13
ベースボールチャンネル編集部
小さな大魔神が君臨
今シーズンのDeNAにおいて、開幕前を思い返すと、最もチームで不安だった箇所はリリーフ陣ではなかっただろうか?
昨年守護神を務めた三上朋也が2月下旬のキャンプで右肘の不安を訴えると、代役として期待された国吉佑樹はオープン戦の防御率は4.50、新外国人選手のエレラも防御率5.40とそれぞれピリッとしない内容。
サウスポーも大原慎司が昨年からの肩の不安からオープン戦の段階では実戦登板を果たしておらず、新たに獲得した岡島秀樹も2月に左膝の不安を訴え、オープン戦終盤に実戦復帰を果たすものの完治していないということで再度離脱。
そのような中、オープン戦先発で結果が出なかったルーキー山崎康晃を、アマチュア時代適性を見せたリリーフに転向させると、オープン戦では一度も連投させる機会もなく、半ば見切り発車的にクローザーに据え、開幕を迎えたのであった。
ところが開幕してみると、5月12日の試合終了時点で1点差のゲームは9勝4敗と5つの勝ち越しに成功。
さらに7回終了時点でリードしていると16勝2敗勝率.889となっており、高い勝率を維持している。
表のように1点リードの場面で登板したリリーフ投手は、防御率1.33、whip0.89、奪三振率10.18と健闘している。
投球回数20回1/3で与四球はわずか2と抜群の成績を残している。
さらにリリーフ投手全体でも狭い横浜スタジアムを本拠地としながらホームランは2本しか打たれておらず、その2本もリード・同点時には1本もホームランを許していないのだ。
あくまで現在のところだが、リリーフ投手陣については、チームの弱点どころか強い武器となっている。
その立役者となったのが昨年の三上同様、ルーキーながらクロ―ザーを任された山崎だ。
1点差の場面で8回被安打4与四球1奪三振10の失点0で、セーブ機会の失敗がないどころか失点すら記録していないパーフェクトリリーフを見せている。
極端にインステップする独特なフォームから最速152キロ常時140キロ半ばを計時するストレートに、ストライクゾーンからボールゾーンにストンと落ちるツーシームはまさに魔球だ。打者から面白いように三振を奪い、奪三振率11.51と極めて高い数字を残している。
プロ初セーブ機会を最少得点差で登板するも難なく抑え、ヒーローインタビューで、ベイスターズファンからすれば伝説ともいえる大魔神になぞらえ、自らを『小さな大魔神』と呼ぶハートの強さも魅力だ。