若手出場機会増でチーム活性化も……谷繁中日が解決すべき、2つの課題【横尾弘一「野球のミカタ」】
谷繁元信監督で2年目を迎えた中日ドラゴンズ。主力選手を故障で欠きながらも、福田、亀澤、高橋周ら次世代の台頭もあり、交流戦前まで借金2で終えた。ここから上位に浮上するためには2つの大きな問題を解決する必要がある。
2015/05/26
ツープラトーン・システムの落とし穴
セ・パ交流戦までに48試合を消化して23勝25敗。谷繁元信監督で2年目を迎えた中日ドラゴンズの戦いぶりは、まずまずと言っていいだろう。
「3D」と名づけられたドミニカン・トリオ、エクトル・ルナ、アンダーソン・エルナンデス、リカルド・ナニータが牽引役を担った打線は、25日時点でチーム打率.268、22本塁打、32盗塁で1試合平均3.4点を叩き出している。
ポイントゲッターの森野将彦と和田一浩を欠いており、本塁打数が伸びないのは仕方ない。その一方で、9年目の福田永将が長距離砲としてのきっかけをつかみ、福岡ソフトバンクの育成選手だった亀澤恭平が強烈なカンフル剤になるなど、次世代を担ってほしいメンバーの台頭が勢いになった。
谷繁監督は、二番セカンドの荒木雅博と亀澤をはじめ、いくつかのポジションで相手の先発投手が左か右かでスタメンを使い分けるツープラトーン・システムを導入した。
これが若手の出場機会を広げたものの、大きなリスクもあるのだという。現役時代にツープラトーンを経験した人の多くはこう指摘する。
「左打者なら右投手との対戦に集中できるし、常に準備をしておくから集中力も切れない。適度な休養も取れていい戦術のように思えるが、実はレギュラーとしてフル出場している時より肉体的にも精神面でも疲れる。開幕からツープラトーンを続けると、夏場には選手たちがへばってしまう可能性も低くない」
さらに、ツープラトーン起用されている選手たちの調子の良し悪しで打順が変わると、打線としてのつながりが生まれにくく、得点力がなかなか安定しないのだという。確かに、ここまでの中日のチーム打率は12球団でトップなのだが、165得点は8位であり、それほど破壊力を備えているという印象もない。
5月中旬あたりから、左腕投手が先発する際に亀澤や松井雅人がスタメン出場するケースも見られるようになった。交流戦中には和田や森野も戦列に加わるだろう。打線も固定されていくはずだ。そうして選手個々の成績が得点力に反映されてくれば、まだまだAクラスをキープし、優勝を狙っていくだけの戦いはできると思える。