巨人・原監督の掲げるチームスローガン「新成」「野性味」が実を結ぶ日
現在セリーグ2位に位置する巨人。開幕から故障者が絶えず主力メンバーの不振もありながらも、上位に定着している強さは健在だ。
2015/05/30
阿部捕手復帰は「有事」への対応力
何だかんだ言ってもGは強い。セリーグでは首位をキープするDeNAばかりにスポットがあたるが、そのフィーバーに隠れ気味だった巨人も気がついてみると2位。前年のリーグ王者が地味に強さを見せ付けている。
今季の巨人はここまで抜きん出た打撃成績を誇る野手がなかなか出て来ない。実際に打率・打点・本塁打の打撃3部門でベスト5にランクインしている打者は1人もいないのが現状だ。投手に関してもここまで先発陣はともかくとして勝利の方程式の一角を担うマシソン、山口鉄也がリリーフに失敗するケースも何度か見られ、鉄壁と言われていたブルペンは昨季よりも若干の不安要素を感じさせている。それでも、この位置にいるのは一体なぜだろうか。筆者はやはり原辰徳監督の手腕によるものが大きいと考える。
1つは「有事」への対応力だ。今季の開幕前まで当初の捕手構想は阿部慎之助を打撃に専念させるため一塁にコンバートし、2年目の小林誠司とヤクルトから移籍してきたベテランの相川亮二を交互に起用する方針だった。しかし相川が開幕直後の4月上旬に右太ももを肉離れし、戦線を離脱。原監督は「捕手での起用は99パーセントない」と断言していたはずの阿部を捕手に戻し、前言を撤回した。その後、阿部も左太ももの肉離れでリタイアしたが、戦列に復帰してからも捕手として続けて起用。さらに負傷により二軍調整中だった相川の一軍復帰を決めると、原監督は攻守ともに不振の続いていた小林を入れ替える形で二軍へ降格させた。
確かにこうした原監督の起用法には一部から〝朝令暮改〟という皮肉めいた指摘も出ているようだ。しかし、この阿部の一塁コンバート撤回は別にバッシングを受けるべきことではない。そもそもの発端は相川が大ケガを負ってしまい、さらに期待していたはずの小林も壁にぶち当たっていまひとつ伸び悩む「有事」がタイミング的にほぼ同時に起こってしまったことである。「99パーセントない」と言っても逆にとらえれば「1パーセントは可能性がある」ということだから、そういうとらえ方をして考えてみても公約違反とはならないだろう。