石川直也「リリーフエース」としての課題。宮西の投球から大局観を学べ【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#105】
近い将来、リリーフエースとして期待される石川直也。しかし、その座をつかむためにはまだまだ学ぶべきことが多い。
2019/07/07
ひとり相撲にならないために
宮西と石川直の何がいちばん違うかといえば、状況判断・大局観だ。石川直は自分だけで頑張ってしまう。その状況をよく「ひとり相撲」と表現する。自分ががんばって、自分がいい球を投げれば抑えられるとムキになって、自滅していくようなパターン。石川直はマジメなのだ。打たれたら「自分の球が甘かった」「自分がもっと低めに投げていたら…」と反省するような感じだ。「気持ちを強く」「腕を振ろう」と考えているだろう。反省は自分のことだろう。
まぁ、投手にとっていちばん大事なのは闘争心だから、それはいい。だけど、同じくらい大事なのは状況判断だ。言い方を変えると「心の準備」だ。状況を整理すれば割り切るところが割り切れる。ピンチの場面で余裕が生まれる。例えばさっきの「打者勝負」(打者だけ相手にすればいい)のシチュエーションもそうだ。それからこの日のブルペン状況、「終盤8回、まだ宮西も秋吉も後ろに控えてる」もそうだ。
クソマジメに「自分が腕振って自分の投球をしなくては…」ばっかり考えてたら苦しくなる。もっと野球は深くて大きなものだ。みんなでやっている。まず野手が守ってるし、相手ベンチ、相手打者の心理がある。自分で自分を追い込んだらダメだ。それば自分でつくった崖っぷちだ。
先月の札幌ドームのことを思い出したのだ。石川直のやらかし。6月29日のソフトバンク10回戦。9回2死までリードしながら、あとアウトひとつが取れず、上林誠知に2ランを打たれ逆転負けを食らった試合。あのとき、僕はショックが大きすぎてしばらく座席から立ち上がれなかった。泣きそうだった。あんなに素晴らしい球を持ってる石川直がなぜやられる。
幸い泣かずにすんだ。コラムを読んでるというファンが声をかけてくれて、記念写真を撮ったりして気がまぎれたのだ。だけどね、本当のショックはその夜、ホテルでシャワーを浴びてくつろいでるときに訪れた。ある意味、打たれたこと自体よりきつかった。石川直が試合後、「ランナーを気にしてしまった…」とコメントしていたのだ。
9回2死1塁。1点リードであとアウトひとつ。これはどう考えてもバッター勝負だ。ランナーどうでもいい。そして100パー、バッターに集中すれば直の球はそう簡単に打たれるもんじゃない。
直、野球を深く知りなさい。先輩に話を聞くといい。投手だけじゃなく、野手にも聞くといい。土壇場で打者はどんなことを考えるのか。どうなるのが一番嫌なのか。野球は知れば知るほど面白いものだよ。僕は必ず「リリーフエース」になれると信じているよ。
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