育成できない巨人。マギー、カミネロ…助っ人に命運託したチームに渦巻く未来への不安【死亡遊戯コラム】
現在、なんとか3位につけている読売ジャイアンツ。助っ人軍団は躍動を見せるものの、若手がなかなか台頭しないという悩みは解決できていない。
2017/05/20
外国人選手への依存度が高まるチーム編成への不安
もちろん助っ人軍団の活躍は喜ばしいことだが、不安もある。
巨人史上ここまで助っ人選手への依存度が高いチームは記憶にないのだ。
09年日本一時も、セス・グライシンガーとディッキー・ゴンザレスの二本柱、抑えはマーク・クルーン、不動の4番にアレックス・ラミレスという時期があったが、同時に頼れるベテラン小笠原道大、まだ30歳のキャッチャー阿部、25本塁打の亀井善行、新人王の松本哲也、20歳の坂本勇人と日本人選手の役者も揃っていた。
今は、それぞれ年を重ねた38歳阿部とキャプテン坂本以外に頼れる日本人選手はいない。
レギュラーを脅かすような20代前半のプロスペクトは、北海道日本ハムファイターズから移籍して来た石川慎吾くらい。
由伸監督が執拗にこだわる中井大介にしても、すでにプロ10年目の中堅組である。
カンフル剤として期待されるのは若手ではなく、2軍で打率.322、7本、14打点と打撃好調の二塁手ルイス・クルーズだが、外国人枠の関係で開幕以来1軍昇格はない。
代えの利かない先発の柱、セットアッパー、クローザー、5番打者がすべて助っ人選手。
なぜこのようなチーム編成になってしまったのか?
それは内海哲也、山口鉄也、西村健太朗、澤村拓一といった原前監督時代の主力選手の衰えや故障を、外国人選手でそのままカバーしようとしたからだろう。
さらに追い打ちをかけるように、ここ3年間のドラフト指名リストを見ても、現在1軍の主力として活躍している選手はひとりもいない。
いつの時代も、プロ野球は主力選手、若手選手、そして外国人選手がバランスの良いトライアングルを作れるチームが理想とされる。
主力の衰え、ドラフトの失敗…。いわば、今の巨人はいびつな三角形なのである。
もちろん現場もそんなことは百も承知で、オープン戦から3年目のスラッガー岡本和真や2年目外野手の重信慎之介、15年ドラ1右腕・桜井俊貴らを強化指定選手として起用して来た。
特に岡本の東京ドームのバックスクリーンにぶち込む長打力は魅力的だが、あの急造レフト守備では1軍にいても起用法が難しい。元々守備が苦手な上に育成方法も毎年内外野ブレブレという悪循環。
チームとして大田泰示を育成しきれなかった反省が全く生かされていないのが気になるところだ。
恐らく5年後、いや3年後には阿部やマギーはレギュラーとしてプレーはしていないと思う。そしてキャプテン坂本やエース菅野智之は30代を迎えている。
果たして、その時、岡本や桜井はどこで何をしているのだろうか?
将来、巨人が「助っ人軍団への依存」から抜け出せるかは、彼ら若い才能の覚醒が鍵を握っている。